2010年10月21日木曜日

あなたに好きって言ってしまわないうちに

こうやって 真夜中にたったひとり
一緒に聞いたピアノナンバーを聞いていると
あの時のあなたの瞳を思い出してしまう
もう恋なんて しないと決めてたのに
どうして またこんな魔法にかかってしまったの
誰もいない部屋でふと頭に浮かぶのは
遠くの街へ帰っていったあなたのことばかり
掻き消そうと思えば思うほど 離れない
最後に軽く抱きしめてくれた胸の温もり
大きく広げた腕の中に滑り込んだ快感
行先が違う電車にお互い乗り込んでも
窓から見えるあなたに手を振り続ける私に
あなたが優しく微笑み返しているのが見えた
それが今でも脳裏に焼き付いて離れない
目を開けても目を瞑っても そこにいる
手を伸ばしても決して届かない あなた
ふと涙ぐむ私が年甲斐もなく滑稽
別々の世界へ戻っていくのが当たり前
すべては一時の心の迷いだと思い過ごそう
こんな思いにさせてくれたあなたに感謝して
若い娘みたいな甘酸っぱい胸の痛みは
誰にも見つからないよう内緒にしておこう
思いはいつかはどこかへ消えてしまうはず
そんなことはもう何回も繰り返したんだから
私の中にくすぶり始めたこの小さな炎が
大きくならないように手の中にそっと閉じ込めて
あした晴れてたら真っ青な空の下へ行って
明るい日差しの中でゆっくりと深呼吸して
この思いを揺れる外の風に流してしまおう
そう もうこれ以上手遅れにならないうちに
あなたに好きって言ってしまわないうちに

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